Google口コミのジャングリア沖縄に見る適切な掲示板・口コミ管理機能とは
最近オープンしたてのジャングリア沖縄がSNSやGoogle口コミで大炎上しているのが話題になっています。結果的に一時口コミがゼロになるという謎の現象が起こり、最近やっと復活しました。理由はこれです。
ジャングリア沖縄 消えた口コミはグーグル側が削除 「保護措置を適用」
・・・・・・・・・・・ジャングリアに関する口コミは開業した25日から増え、26日までに400件以上の評価が寄せられた。だが、27日午前にこれらは一桁まで激減し、ほとんどが閲覧できなくなった。グーグルによると、同社の探知システムがポリシー違反の口コミの大量流入を検知したという。そのため「現時点でのさらなる悪用を防ぐため、ここ数日の口コミを削除し、保護措置を適用した」と説明した
実はGoogleでは口コミを生成AIで管理しており、あまりにも不自然な投稿、罵詈雑言が殺到した場合は口コミを一時的に閉鎖する機能があります。厳密に言うと、コーナーを閉鎖というより発言を非表示にする機能です。
口コミが実質閉鎖された事によって、株式会社刀(今日本で一番知名度の高いカリスママーケッターである森岡毅氏率いる会社であり、ジャングリア沖縄を所有運営する(株)ジャパンエンターテイメントの筆頭株主)が自民党経由でGoogleに圧力を掛けたとも言われていますが、外資はそんなにハイハイ簡単に言うことは聞きませんので可能性は低いのではないかと思います。まあこの辺がそういう噂に拍車を掛けたかも知れません。
まあ産業復興という点では当然期待大ですね。 石破首相、7月開業の沖縄北部の大型テーマパーク『JUNGLIA』に期待 交通の円滑化へ「尽力してまいりたい」 | ORICON NEWS https://t.co/Up6nHGKrwo@oricon
より— 田中 亨@Webコンサル・システム開発会社創業社長 (@tanaka_webdev) August 12, 2025
その後口コミは復活しましたが、相変わらず評点は低いままです。
このような会員制サイトにおいて口コミ・掲示板機能をつけて、コミュニティを盛り上げたい、というWebサイト主催者は一定数います。
しかし他方、このジャングリア沖縄のように口コミ炎上は困るよなぁ、と思っているサイト主催者も当然少なくありません。そこでここではそのようなWebサイト主催者向けの視点に立って、適切な口コミ・掲示板管理機能を実装するのはどうしたらいいのかについてご説明をしたいと思います。
目次
発言公開は即時公開型か事前検閲型かに分かれる
まず会員登録したユーザーがコミュニティに書き込む際、書き込んだ内容が即時公開されるか、それとも事前に発言をチェックしてから公開されるかの2パターンに分類されます。
2ちゃんねるはともかく、企業がビジネスとして主催・運営する掲示板・コミュニティはネット黎明期は後者が多かったのですが、今は即時公開型がほとんとで、まずい発言があったら後から非公開・削除をしようという形です。即時公開されないと、ユーザーのロイヤリティが下がってしまいますし、今はほとんどのサイトが即時公開型です。例えばXだとこのように不適切発言も即時公開されてしまいます(すぐ消しました 汗)。
発言のチェック機能の実装は?
しかし、当然ですが事前であろうと事後であろうとマンパワーでの発言チェックには非常に大きなコストが伴います。そこでその負荷をITテクノロジーでカバーする事になります。以前は「NGワード管理機能」が主流でした。これは予め不適切な単語を「NGワード管理機能」から新規登録・修正・削除が出来る様にします。そしてユーザーの発言がそれに該当しないかチェックをし、問題があれば発言確認画面で「不適切な表現が使われていますので、修正をお願いします」と表示するわけです。修正されるまで公開完了画面に行きませんので当然公開されません。
ただ勿論これも完璧ではありません。悪意があればどうにでもなりますので、気休め程度だと思った方がいいでしょう。また偶然の一致も起きてしまいます。以前ネットで「どうして俺の名前がNGワードになるだ!登録も発言出来ないだろ!」と怒っている方がいらっしゃいました。ん?と名前を見たら「鈴木イチロウ」という方でした。コメントは控えます。
また最近は生成AIでの実装も増えてきています。というか、大手はほとんど生成AIを活用しています。例えばfacebookでは「Few Shot Learner(FSL)」と言う生成AI技術を使っており、それでユーザーの発言を自動チェックしています。
なのでコストの観点から言うと「アナログな事前キーワードマッチング機能を実装し、そこもすり抜けた場合は、事後に管理画面から発言の一時非表示・削除する」というのがミニマムな機能実装です。予算をそれなりに掛けても良い、だと生成AIを活用する事になります。
コミュニティノートによる発言への注釈機能
また生成AIによる発言チェックも万能ではなく、当然限界があります。そこで例えばXでは発言時に制限を掛けて非公開にするのではなく(公開しないと商売にならないですしね)、公開された発言に他のユーザーからツッコミを入れて修正させるという機能をつけています。これが「コミュニティノート」です。これは事前に登録を承認された人が、個々人のアホタレ発言に「お前それちゃうがな」と修正発言を付加するという機能です(なんで関西弁?)。
要は発言のチェックと修正を生成AIにではなく、人にやらせる、というしろものである意味原点回帰に近い仕組みです。結局人なんですよね。
★星の数は平均でも標準偏差でもなく、一番やっかい
口コミ・掲示板管理機能を実装したいサイト主催者からほぼ例外なくご要望を頂くのは「★星の数を表示したい、それをランキングにしたい」というものです。そして実はこれが一番やっかいです。なぜかというと星の数というのは投稿者が恣意的に操作が可能なためです。食べログにしてもGoogle口コミにしても、あそこで書かれている星の数は平均でも標準偏差でもなく、彼ら独自のノウハウで実装しています。そのユーザーの登録日時(口コミのために登録したのかをチェック)、実際にどの程度店舗に書き込みをしているのか(他の店舗にも書いてる書いてないのチェック)、IPアドレスのチェック(同じPCと場所から連続投稿してないかのチェック)等、非常に高度なロジックで実装されています。なので、星の採点者が1名で5点満点の5点をつけていても、結果表示が5にはならないわけです。
なので弊社ではこのようなご要望に対しては「星の数の明細と、累計ポイント数だけ表示して、後はユーザーの判断に任せましょう。また星ランキングは辞めて、別の評価軸(アクセス数等)でのランキング表示にしましょう」というご提案をしています。勿論ご予算があるなら全く問題ありません。得意なジャンルですので、とことんご提案・お付き合いいたします。
通報機能は必須でつけよう
どんなに発言に網をかぶせても、必ずそこをかいくぐって発言を書くユーザーというのは必ずいます。なので、そこはもう防ぎようが無いという前提で、口コミのところに「通報する」といういわゆる「通報機能」をつけることを弊社ではお薦めしています。ある意味前述した「コミュティノート」と同じで、ユーザー大丈夫です。の方法です。実際、大手サイトの口コミでも、今や「通報」機能がないところを探す方が難しいです。必ずつけましょう。
最後にーネット文化を分かっているシステム開発会社に相談しよう
このように掲示板・コミュニティ機能はそれなりに平和を維持するためには知恵とコストが必要です。大事なのは炎上などのネット文化を理解しているシステム開発会社にご相談をするという事です。仕組み、システムが誰でも言われれば開発出来ます。しかし、お客様が厳密にやりたいことをシステム要件に落とし込めるワケではありません。分かっているシステム開発会社に相談出来るかどうかで、プロジェクトの6割以上が決まってしまいます。そういう会社にご相談をされてください。この記事、軽くコンプラ違反で申し訳ありませんでした。