【発注者向け・超簡単解説】PHPとは?バージョンアップの種類とWebサイトへの影響
■この記事でわかること
- PHPがWebサイトで何をしているか
- なぜ定期的なバージョンアップが必要なのか
- マイナー更新とメジャー更新で何が違うのか
- サイトへの影響と、安全に更新するための手順
はじめに
この記事では、Webサイトを管理・発注する方に向けて、PHPとは何か、なぜ更新が必要なのか、更新の種類によって何が変わるのかを分かりやすく説明します。さらに、サイトやシステムへの影響と、安全にバージョンアップを進めるための確認ポイントも紹介します。
PHPって一体なに?
Webサイトの裏側では、画面を表示するだけでなく、問い合わせを受け付けたり、会員のログインを処理したりしています。たとえば、商品情報をデータベースに問い合わせて画面に表示したり、フォームに入力された内容をデータベースへ書き込んだりするのも、こうした裏側の仕事です。その処理を動かすプログラミング言語の一つがPHPです。Webサイトのサーバー側の開発で、事実上の標準(デファクトスタンダード)と言えるほど広く使われています。弊社のお客様のWebサイト・システムも、多くの部分がPHPで作られています。
PHPそのものは無料で利用できます。ここはお財布にうれしいところです。オープンソースのライセンスで公開されているため、PHPを使うだけで利用料が発生するわけではありません。ただし、Webサイトの制作やPHPのバージョンアップ、動作確認、サーバーの運用を開発会社に依頼する場合は、その作業費用が発生します。
※2026年10月22日追記 「PHPの重大な脆弱性への対応完了について」を公開しました。
PHPの始まりと現在の開発体制
PHPの始まりは、意外にも個人の履歴書です。1994年、カナダのウォータールー大学を卒業して間もない、当時25歳のラスマス・ラードフ氏は、自分の履歴書をインターネットで公開していました。「ワイのこの履歴書、そもそも誰が見とるんやろうなぁ?」。ある日そう思ったこの若いお兄ちゃんが、閲覧数を記録するために自分で作ったプログラムが原点です。履歴書をネットに載せて訪問者まで調べるとは、当時としてはちょっとおませさんですね。
閲覧数を記録するために作ったプログラムには、分かりやすく「Personal Home Page Tools(個人のホームページ用ツール)」と名付け、1995年に公開しました。実はこれが「PHP」の始まりです。意外と安易なネーミングです。その後、機能を増やしながら、現在のプログラミング言語へと発展しました。今はPHP Groupと世界各地の開発者が協力して改良を続けるオープンソースの言語で、特定の一社だけが作っているわけではありません。
日本では、日本PHPユーザ会を中心とするコミュニティがPHPカンファレンスなどを通じて情報交換や普及に取り組んでいます。ユーザ会の本体サイトは更新が少なく、開くと通信が暗号化されないHTTPのページに移るので、「えっ、PHPのユーザ会なのに?」と少しビビりますね。でも、それはユーザ会のサイトの話。PHP本体の品質とは別で、PHPの開発は世界中で続いています。なお、個々のサイトで使うPHPを更新・管理するのは、そのサイトの運営者や保守担当者です。
なぜPHPは更新しないとならないのか?
PHPにもバージョンがあります。スマートフォンのOSを更新して不具合やセキュリティ上の問題に対応するのと同じように、PHPも定期的なバージョンアップが必要です。「今とりあえず動作しているから、ずっとこのままで」とはいきません。人も同じですね。ひとところにとどまることを知らずです。
古いバージョンを使い続けると、やがて公式の修正が提供されなくなります。その後に別の新たな弱点が見つかっても、古いので対応が難しくなります。今は問題なく動いていても、それだけで使い続けてよいとは判断できません。PHP公式サイトによると、各バージョン系統は原則として最初の2年間に不具合とセキュリティの修正が提供され、その後の2年間は重要なセキュリティ修正のみが対象です。期限を確認し、余裕を持って更新を計画しましょう。
更新にはマイナーとメジャーがある
たとえばPHPの番号が「8.4.2」なら、最初の「8」がメジャー、次の「4」がマイナー、最後の「2」が修正版です。番号のどこが変わるかで、更新の内容と確認の量が変わります。
修正版への更新(例:8.4.2 → 8.4.3)
主に不具合やセキュリティ上の問題を直す更新です。変更は比較的小さいものの、公開後はページの表示やフォームなどを確認します。
マイナー更新(例:8.4 → 8.5)
新しい機能の追加や一部の動きの変更があります。大きな改修をせずに済むことも多いですが、使っているプラグインや独自の機能が対応しているかを事前に確かめます。
メジャー更新(例:7系 → 8系)
古い仕組みが使えなくなるなど、影響が大きくなる可能性があります。Webサイトのプログラムの修正が必要な場合もあるため、調査と動作確認に十分な時間を取ります。ただし、実際の影響は番号だけで決まりません。サイトで使う機能の内容によって変わります。
サイト・システムへの影響
PHPを更新した後は、サイトやシステムが正しく動くか確認する必要があります。トップページが見えていても、問い合わせメールが届かない、ログインできない、予約や購入が途中で止まる、といった問題は起こり得ます。WordPressを使うサイトなら、本体だけでなくテーマ、プラグイン、独自に作った機能も確認します。
準備なしに本番のPHPをいきなり更新すると、利用者が見ている途中でページが突然真っ白になることもあります。買い物の途中でエラーになったり、問い合わせを送ったつもりでも届いていなかったりすれば、売上や顧客対応に影響します。
特に規模の大きなサイトでは、まず本番に近い開発環境で更新を試します。表示、フォーム、ログイン、予約・購入、管理画面、外部サービスとの連携を操作し、問題がないことを確認してから本番に反映します。本番に反映した後も、環境の違いで問題が出る可能性があるため、もう一度確認します。
安全にバージョンアップするために
事前に準備する
現在使っているPHPの番号とサポート期限、サイトの重要な機能を調べます。ファイルとデータベースをバックアップし、問題が起きたときに元に戻す手順も決めます。規模の大きなサイトでは開発環境で先に更新して、主要な操作を試しましょう。
本番でも動作を確認する
開発環境で問題がなくても、本番に反映した後には一通り動作確認をします。マイナー更新なら、サイトの構成によっては主要ページと重要な機能を手早く確認する程度で問題が起きないことも多いです。ただしフォームや決済など、事業に関わる機能は省きません。メジャー更新では、主要な画面と機能を実際に操作する、しっかりした確認が必須です。エラーログも確認します。
作業する時間を決め、利用者に知らせる
アクセスが少なく、確認も短時間で済むサイトなら、担当者が対応しやすい日中に更新してもよいでしょう。一方、反映後の確認に時間がかかる大きなサイトや、営業時間中に止められないシステムは、夜間や営業時間外に作業します。その場合は、作業日時と影響を知らせる案内ページを用意し、必要なら作業中にメンテナンス表示へ切り替えます。確認と復旧まで終えられる時間を確保することが大切です。
まとめ
PHPの更新は、サイトを安全に使い続けるための定期的な保守です。管理者は、いつ更新するか、どの機能を確認するか、問題が起きたらどう戻すかを保守担当者と決めておきましょう。小さな更新でも確認は必要です。大きな更新では、開発環境での検証と本番反映後の十分な動作確認を計画します。御心配な方はお気軽にお問い合わせください。結構良い仕事します。
画像:PHP公式ロゴ(Colin Viebrock、CC BY-SA 4.0、背景と余白を追加)
参考:PHP公式・歴史/PHP公式・開発体制/PHP公式・サポート対象バージョン/PHP公式・移行ガイドの例/PHP公式・メジャー更新の移行ガイドの例



















