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ノベライズドフィクション「会員制動画配信サイトで法人管理機能?」Vol.1

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ノベライズドフィクション「会員制動画配信サイトのご提案にある、この法人管理機能ってなんですか?」

最終更新日:2023/11/29   公開日:2021/07/05

※本記事は実際にあった複数の出来事や人物をNDAに抵触しないようにミックスまたはアレンジをして、ノベライズドフィクションとして再構成しています。このため登場人物は全て架空の人物です。

五百旗頭(いおきべ)は首都圏を中心に医療機関向けの経営コンサルティングをしている会社の社長だ。創業者で年齢は60歳前半、ITにはあまり詳しくないが、積極的な投資を行いながら、業界ではやり手の経営者として一定のポジションを築いてきた。

五百旗頭の会社では新たに会員制動画配信サイトのサービスを立ち上げることにした。いろいろ選考した結果、デジタルファームという会社に依頼することにした。今まで全くつきあいがなく、札幌が本社という事で地理的には離れているが、今更距離を気にする時代でもないと五百旗頭は割り切っていた。むしろ大した能力も無いのにすぐ単価が100万人月とか120万人月とか言ってくる都内のシステム開発会社より、地方の会社の方が単価が安くてお得そうだし、デジファは首都圏での取引先が7割近いという事なのでほとんどそれは気にならなかった。

この日はデジタルファームとは三回目のリモート会議だった。五百旗頭が口を開いた。

「田中さん、先日ご相談差し上げたVimeoを使った会員制動画配信サイト新規構築の件ですが、会員管理機能が必要なのは当然だと思うんですが、このご提案いただいた法人管理機能って何ですか?」

「五百旗頭社長さんがターゲットとして考えているのは、個人に近い医院の方もいらっしゃれば、大きな医療法人、病院も当然ターゲットに含まれますよね」

田中は年齢は50代だろうか?とにかくよくしゃべる男だ。普通営業の上手なビジネスマンというのは聞き上手な事が多い。しかし田中の場合は全くの真逆でお客の言うことを1聞くと、5,6,7まで推測して勝手にしゃべってしまう感じの男だった。しかしそれが結構説得力があり、不思議と嫌みには感じない。セースストークをしに来ている、というよりも、まるで実現した自社のサービスの未来を嬉しそう語る感じで営業感の無い、不思議な男だった。

「勿論そうです。」

「そうなると、アカウントの使い回しのリスクを考えないとならないのです。」

「と言いますと?」

田中は会議室のホワイトボードに絵を描きながら説明を始めた。田中の絵はやや汚く、象形文字みたいな字だが読めないわけでは無かった。

「例えば個人医院で、院長さんだけが契約者で、動画を見て勉強するのも院長さんだけなら、ログインするIDとパスワードのセットは一つだけを発行してお渡しすれば済みます。しかし、これが大病院でお医者さんやスタッフ100人がセミナー動画を見る、という場合、どうされます?」

五百旗頭はちょっと考えてから答えた。

「そのアカウントを病院内で使い回して使って貰えばいんじゃないですかね?さすがに100個を個別発行するのはいちいち手間がかかりますし、それでなくてもうちのスタッフも忙しいので、出来ればそういう面倒な作業は避けたいです」

「はい、大変ですよね、それは分かります。でも、その場合もし退職者が出たらどうします?その人は皆と同じアカウントを持ったまま外に出ていく事になりますよね。アカウントが流出してしまう事になります。」

「なるほど、確かにそうですね・・・」

「しかもこの場合非常にまずいのは、正式なアカウントを使っているため、その辞めた退職者が後で使っているかどうかを知る方法がないのです。また、ご契約いただく病院の中には、人材流動性の高い会社さんもあるでしょう。

誰かが辞めた、あるいは人事異動で部署が変わる度にいちいちそのアカウントを再発行する事になります。そうすると、作るアカウントは一つでも、それをいちいち100人に再配布する手間がかかってしまいます。

御社の場合、現状のお取引はお客様は個人医院が3割程度で、後の7割はスタッフ300名前後の中規模の病院ですよね」

五百旗頭は全くそこは想定していなかった。なるほど、と相づちを打った。

「はい、その通りです。なので今回の新規に立ち上げる会員制動画配信サイトも、若干数字はぶれるとは思いますが、概ね似たような構成比になると思います」

田中は静かにうなずきながら答えた。「であるならば、ますますこの会員制動画配信サイトは個人一人一人に固有のアカウントを発行するべきだと思います。」

田中はクライアントとの打ち合わせでよく「べき」という表現を使う。お客様のビジネス上の課題を聞いて、「だったら御社はこうすべきだと思います」と、自分がお客様がするべきだと思う事、「べき論」を言うのが田中のポリシーだ。

「田中さん、お話は分かりました。では一体どうしたいいんでしょう?さすがに毎回こちらで新規に法人のお客様との契約を締結する度に、何百アカウントも作るのは厳しいのですが・・・」

「なので今回、法人管理機能が必要だと思いご提案しました。これを使えば、出来るだけ管理しないで管理する事が出来ます。」

「え、どうやってですか?」

「つまり動画配信サイトを使う社員の出し入れに応じたアカウントの発行・削除は、御社ではなく、その契約してくれた病院の管理者にお任せするのが一番リーズナブルな管理方法です。それが先にご提案差し上げた「法人管理機能」なんです。」

「なるほど、具体的にはどういう使い方になるんでしょう?」

「つまりこういう形で管理を任せてしまうのです。」

 

ノベライズドフィクション「会員制動画配信サイトで法人管理機能?」Vol.2 に続く。