menu
Webを活用してお客様のビジネス課題を解決します。札幌・東京を拠点にWebコンサルティングをコアにした、Web制作・システム開発・サーバ構築会社です。
現場ブログ

コンテンツの課金モデルーいくらなら、どうやったら儲かるのか?

fシェアする
ツイートする
ブックマーク
タイトルとURLをコピー
コンテンツの課金モデルーいくらなら儲かるのか?

最終更新日:2021/03/26   公開日:2019/03/23

弊社ではNTTドコモのspモード決済、KDDIのauかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いといった、有料コンテンツの利用料金を携帯電話の利用料と一緒にキャリアが代行収納してくれる、いわゆる「キャリア課金決済」について長年システム開発・保守をさせて頂いています。

これまで様々なモバイルサイトでWebシステム開発と合わせて課金システムの開発や、課金モジュールの提供を10年以上行わせて頂いてきました、

その関係でお客様から定期的に「うちの動画を有料化出来ないか」「自社のコンテンツを有料化したいが、どうやったらいいだろう」と言ったご相談を頂きます。そこで有料課金について、その歴史(といってもこの15年くらいですが)から効果的な課金モデルについて、ざっとですが、生き証人&プレイヤーとしてご説明をさせて頂きます。

i-modeで花開き、スマホで下火になったが底堅いニーズがある有料コンテンツ課金

ガラケーしかなかった時代(つまりインターネットへのアクセスはパソコンからしか出来ない時代)、デジタル・コンテンツを有料で販売することはほぼ不可能でした。当時、決済方法としてクレカ決済がありましたが、クレカで有料コンテンツを購入するユーザーは極めて限定的でした(これは今も基本的にはほぼ変わっておらず、クレカの番号を入力してコンテンツを購入するユーザーは多くはありません)。

それを一変させたのがi-modeです。電話料金と一緒にコンテンツ利用料を徴収できるという「代行収納機能」、キャリアのコンテンツ課金モデルは、革命的な効果をもたらしモバイルコンテンツの有料市場を一気に花開かせました。

しかし、スマートフォンが登場した以降、従来型の有料モバイルサイト、コンテンツ市場は縮小していきます。代わりに台頭してきたのがコンテンツを無料でSNS等でばらまき、広告収入で稼ぐ、ビジネスモデルです。中には「コンシューマー向けのコンテンツの有料課金モデルは終わった」という人もいますが、ではソーシャルで無料コンテンツをばらまいて広告モデルで収益を稼ぐのがうまくいっているかというと、実際はほとんど出来ず、見た目は派手ですが、死屍累々の山なのが現状です。

有料コンテンツ課金は、確かに昔ほどボロ儲けは出来ません。しかし地味にちゃんりんちゃりんと毎月稼ぐことが出来、営業利益率が極めて高い、というメリットがあります。

コンテンツの課金の仕方は三つしかない

「うちのコンテンツを有料課金させるにはどうしたいいのだろう」というご相談をしばしば頂きますが、基本以下の三つしかありません。方式と特徴についてご説明します。

1 月額固定課金方式

2 スポット課金方式

3 ポイント課金方式

この三つが基本形で、後は上記1~3の組み合わせになります。

1の月額固定課金方式は一番基本的なコンテンツ課金モデルで、ほとんどの有料サイトはこの方式を採用しています。毎月一定金額が自動で引き落とされるモデルです。一度課金すると、そのまま退会するまで継続課金されます。CP(有料サイト主催者)から見ると「貯金のようにユーザー(有料課金者)が貯まる」のが最大の魅力です。またあまり好ましい事ではありませんが「有料課金したユーザーが課金した事を忘れてしまう」という休眠ユーザー期待が出来るのもこのモデルの大きな特徴です。

2のスポット課金方式というのは要は単品料理です。この記事1本、この動画1本と特定のコンテンツのみに課金をする方式になります。1と違ってユーザーから見ると必要なところだけ買う事が出来ますので、一見するとユーザーが利用しやすいように見え、有料会員が増やしやすいよう見えますが、実はその逆です。動作が面倒臭い、毎回「買う」という事を強く意識させてしまうため、1ほど売上を上げにくい傾向があります。

3のポイント課金方式とは、いわゆるポイントを有料で購入(チャージ)し、有料コンテンツを見るのにポイントを消費して購入するパターンです。ポイントが尽きたら、再度料金を払ってポイントをチャージします。ポイント方式ですので、2ほどは課金手続きは煩わしくありませんが、CP(有料サイト主催者)から見ると、常にポイントを使わせないとならない、ポイントを買うまで売上が発生しにくいという問題があります。

有料コンテンツの料金設定はいくらが適切なのか?-「缶コーヒーの法則」

これもよくご相談を受ける内容です。有料コンテンツをいくらに設定するのか、というのはユーザーとの心理戦でもあります。私どもでは普段、基本月額固定課金は100円~300円からのレンジ設定で、例外的に500円というのが相場だとご説明しています(ただし、これはあくまでもコンシューマー向けの価格設定で、法人の場合はまた変わってきます)。

課金が300円に近くなると、ユーザーがかなりシビアに利用状況を判断し、使わないとすぐに解約してしまいます。そのため、有料会員が蓄積しにくい、というデメリットが生じてきます。上記の課金モデルでもご説明差し上げましたが、継続型有料課金モデルの大きなメリットの一つは有料課金ユーザーが貯金のように貯まることです。料金が低いほど「まあいいか」と課金し続けてくれる傾向があり、100円前後がその傾向が一番強くなります。私達はこれを「缶コーヒーの法則」と呼んでいます。要は缶コーヒーくらいの料金なら、多少利用頻度が低くても「まあいいか」とそのまま有料課金し続けてくれるのです。

しかし、最近の傾向を見ると、また少しユーザーの振るまいは変わってきています。有料コンテンツを購入する層の中で、そのコンテンツに関心が少ししかない層、いわゆる「なんちゃって層」は全般的に減る傾向にあります。なんちゃって層はそもそもスマホで見られる無料コンテンツに流れているためです(ガラケー時代はそれが出来なかったので「逃げ場」がありませんでした)。それよりはむしろある程度高くても有料コンテンツを買ってくれる「マニア層」の方が増えており、今後もこの傾向は強まると思われます。

この傾向を踏まえると、昨今のコンテンツの料金はコンテンツを問わず月額100円~200円台の課金では逆に「取りっぱぐれる」可能性が高く、むしろ300円、500円の料金設定にする事をお勧めします。

実例で見る課金モデルの方針

弊社で10年以上お手伝いしている「iつりしん」は現在月額151円の標準コースと、205円のデラックスコースの二種類になっています(どちらも税込み)。どうしてこういう料金体系になったかと言いますと、実は「iつりしん」は元々151円の標準コースしかありませんでした。つまり当初は金額を抑え、出来るだけ敷居を低くして、多くの方に利用して貰う戦略を採っていたわけです。

しかし有料課金ユーザーの振る舞いを分析していく中で、「ディープユーザーはもっと高い料金でも躊躇無く払ってくれるのでは無いか」「もっと高くても買うよというユーザーが一定数存在しているのでは?」という仮説を持つに至りました。そこでいくつかの新コーナーを追加し、205円のデラックスコースを新設したし、151円の料金から、少なからずのユーザーがそちらのコースに乗り換えさせる事に成功しました。

また、その後に手がけることになりました、「北海道コンサドーレ札幌」の有料モバイルサイトは最初から324円(税込)に設定してあります。これはコンサドーレを一つのコンテンツとして見なすと、地域のJリーグチームであり、ニッチでディープなファンをターゲットにした方が収益を最大化できると考えたためです。利用料金を100円程度に設定してしまうと、裾野を広げるというより、取りっぱぐれる可能性の方が高いからです(ちなみにほとんどのJリーグのクラブは月額324円に設定されています)。

このように、有料コンテンツ課金は「出来るだけ料金を低く抑えて購入障壁を下げ、広く薄く課金する」という考え方と「沢山の有料会員はどうせ見込めないので、買ってくれる人からそれなりの値段で買ってもらう」という二つの選択であり、昨今は特にこの二極化の中でも、後者の選択をするCP(有料サイト主催者)が増えてきています。

昔と違ってボロ儲けは出来ないが、地味に設けることが出来るキャリア・コンテンツ課金

今まで有料コンテンツの課金モデルと値付けのノウハウについてご説明してきました。冒頭でもご紹介したとおり、昔と違って「有料コンテンツ課金」は濡れ手の泡でボロ儲けすることは出来ません(実際以前はそういう状態で、その時のユーザーの貯金が現在もかなりあるサイトも少なくありません)。今はユーザーニーズがどんどん細分化している時代ですが、ピンポイントにニーズにあっていれば、多少高くてもおかまいなしに課金してくれます。

またストック型の売上ですので、ちょっと語弊のある言い方ですが「何をしなくても」毎月ちゃりんちゃりんと入金される安定性も魅力です。そして売上額以上に、極めて高い営業利益をたたき出す事が出来ます。

実際、弊社のお客様の中でも、キャリア課金の有料サイトの売上が一千万程度ですが、別の用途として社内で制作/ストックしている記事をアップしているだけなので、売上がそのままほぼ営業利益となっています。1千万の営業利益を上げるために、営業利益率5%の普通のビジネスだとすると、2億円の売上に匹敵する数字をたたき出している事になります。

SNSの時代ということで、無料コンテンツをばらまいてマネタイズを考えているサービスは数多いですが、断言しますがほとんどのサイトは採算に乗っていません。月間PV数が100万あっても、広告をつけて得られる収入はせいぜい10万円に届くかどうかです。これではWebサイトの保守費用も満足に捻出出来ません。他方有料コンテンツサイトなら、300人課金ユーザーがいるだけで稼げる数字です。時代の流行に流されること無く、自社で行うべきビジネスモデルについて、しっかりと考えてみて下さい。

 

NTTドコモのspモード決済、KDDIのauかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いといった
キャリア課金決済システムの開発や、自社のコンテンツを有料化させたいという方はこちらからご相談下さい。