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4K 90分の動画をAWSで配信して100人が見ると、配信コストはいくらかかるのか?

4K 90分の動画をAWSで配信して300人が見ると、配信コストはいくらかかるのか?で使ったたき火動画の画像キャプチャ

最終更新日:2020/12/30   公開日:2020/12/23

4K 90分の動画をAWSで配信すると、コストはいくらかかるのでしょう?シミュレーションしてみましょう。そもそも4Kでの配信自体はかなり需要は未だ少ないと思います。ですが、最大最高画質だと配信コストの天井(上限)はこれくらいだという事で例示します。

まず動画を用意しました。

 

撮影データは以下の通りです。

※撮影データ
録画時間:01:31:40(YouTube上では01:32:42)
ファイルサイズ:36.8GB
カメラ:SONY HANDYCAM FDR-AX60
メモリー:内蔵メモリー
記録方式:XAVC S 4K (3840×2160)
録画モード:60Mbps(フレームレート 30P)

 

基本サーバ構成

今回は動画ファイルを S3 に配置し、これを CloudFront で配信する前提でのお話です。アップロードした動画を Elastic Transcoder で変換し、配信しやすい形式に変換しています。

4K 90分の動画をAWSで配信して100人が見ると、配信コストはいくらかかるのか?のサーバ構成図

 

今回はあくまで動画配信のコストだけ見ていますので、他の例えば記事や動画管理機能の事は無視しています。

先日も弊社では実際にこの構成で構築しました。いわゆるサーバレスという構成です。EC2を使うよりこの方が安全で低コストです。

 

どんな事に料金がかかるのか?

今回の動画配信のケースでは、主に以下の3つに対して料金を支払うことになります。

CloudFront のデータ転送料金

ユーザーが動画を見るためにダウンロードしたデータ転送料に応じた料金が発生します。

S3ストレージ(動画を保存するHD)の保存量

どれだけの量のファイルを保存していたかに応じた料金が発生します。

トランスコーダー料金 (※オプション)

Amazon Elastic Transcoder によって動画を別の形式に変換する場合、その処理に料金が発生します。

 

厳密にいえばこれら3つ以外にも料金が発生するものもあります。が、この3つ以外は非常に小さいものですのでこの記事では無視することとします。また、一部AWSの無料枠があるものもありますが、これも考えないこととします。

一つ一つ見て行きましょう。

 

CloudFront のデータ転送料金

動画を配信するためにかかる費用です。

CloudFront は世界各地にキャッシュサーバーを持ち、どのキャッシュサーバーを利用するかでデータ転送料金が変化するのですが、今回は日本(東京)の CloudFront が使われた前提で料金計算を行います。

AWS Tokyoリージョンにおける CloudFront のデータ転送料金は1GBあたり0.114$です。

ということは、先述した動画を1人のユーザーがダウンロードした場合に発生する料金は、

0.114$/GB × 36.8GB = 4.1952$

となります。

1か月の総転送量が10TBを越えるとディスカウントがあり、1GBあたりの基本料金が下がります。しかし、今回の場合はこの4K動画を100人が見ると 36.8GB × 100(人) ≒ 3.68TB となり、 10TBを越えません。

よって、全てのデータ転送料金の単価は 0.114$ なので、

0.114$/GB × 36.8GB × 100 = 419.52$

という料金が発生します。

S3ストレージの料金(動画を保存するHDと考えてください)

Amazon Simple Storage Service (S3) とは、簡単に言うとAWSにファイルを保存しておけるハードディスク、又はストレージの事です。地球上の様々な場所にストレージを作成でき、大量・大容量のファイルを保存することができます。今回は、配信する動画を保存しておくために利用しています。

動画を何人が配信しても、動画の保存に必要なファイルサイズは変わりません。そのため、動画のファイルサイズ分のストレージ料金が一月にかかります。

利用する地域によっても料金がことなるのですが、東京の場合はデータを保存する料金は 0.025$/GB-month (一月あたり、1GBのデータを保存しておくと 0.025$かかる) となります。

そのため、今回の動画を配置しておく場合にかかる費用は 0.025$/GB × 36.8 = 0.92$ となります。

トランスコーダー料金 (※オプション)

今回例示した動画ファイルは 36.8GB という1つのファイルです。

しかし、ウェブページ上で動画を配信する場合、動画を配信向けの形式 (HLS形式など) に変換することが行われています。また、例えばスマートフォンで動画を見る場合には 4K の動画が配信されてくると色々な面で不便です。そのため、配信前に各デバイスごとに適した形式の動画を用意しておき、実際にはアクセスしてきたデバイスに応じて適切なファイルを配信するといったことが行われています。

こういった動画の形式変換を行ってくれるサービスが Amazon Elastic Transcoder です。

トランスコーダ―は、元となる動画がアップロードされた後、1度だけ実行されて動画を様々な形式に変換します。動画を何人みるとしても、変換は1度だけ行っておけば問題ありません。
そして、この変換にかかった時間に応じて、重量課金で料金が発生します。今回の記事の主題は 「4K動画を配信する場合のコストの計算」ですので、ここではアップロードした動画から、別の配信に適した 4K 動画1つのみを変換する場合を考えます。

ざっくり相場として、もし動画の尺と同じくらいトランスコードに時間がかかったとすると、720p 以上の場合で0.034$/分 の費用がかかります。

つまり、

91 (分, =1:31) × 0.034$/分 = 3.094$

が、この動画を4K画質を保ったままウェブ配信で見やすい形式に変換する場合に発生するトランスコーダ―の料金となります。

そして、ここで作られた新しい動画もまた S3 に保存されますのでS3のストレージ料金が発生しますが、変換前の動画は配信には利用されません。 そのため、削除が可能です。今回は、動画の変換前後でファイルサイズは変わらず、また、変換前の動画は S3 から削除した、という条件で料金を算出します。

捕捉と注意点

今回は 4K 動画のみを対象に作業時間とその料金を算出しています。

しかし、先にも説明したように、実際にはより様々なデバイス向けの変換が走りますので、その場合はその分だけ変換するのに追加で料金がかかります。

 

結論

以上の結果から、

1) 100人がこの4K動画を全て見終えたとき、データ転送量は 419.52$
2) 動画を保存するのに必要なS3ストレージの料金は 0.92$ (※1月分)
3) 動画の変換にかかるコストが 3.094$ (オプション)

の合計が「4K 90分の動画をAWSで配信して、100人がみた場合の料金」の見積もり結果となります。

この数値は 423.534$ となります。

これを 100 で割って、一人当たりの単価として算出すると、約 4.235$ となります。

AWS が提示している料金は外税ですので、1$ = 105円の換算レートと仮定すると、4.235$ × 1.1 (日本消費税10%) × 105円 = 489.1425 (円) となり、これが1人あたりの料金見積もりとなります。

つまり、「4K 90分の動画をAWSで配信して、100人が見た場合、一人あたりにかかるコストは約 490円」です。

内訳を見てみれば分かる通り、データ転送料金が非常に大きなウェイトを占めています。サーバーの稼働料金のみに目がいきがちですが、構築するサービスによってはデータ転送についてをしっかりと考えなければいけません。AWSから出るデータ転送ファイルのサイズを小さくできると、大きな料金削減につながります。

そもそも現実的に4Kで動画を配信する必要はほとんど無いと思います。いいところ、fullHDでしょう。 fullHDは縦・横サイズともに4Kの半分であり、動画の面積的に1/4となります。そのため、この2つを比較すると fullHD の方がかなり動画のファイルサイズとしても小さくなっていることが期待できます。

単純計算で1/4とすると、料金も 1/4 の 122円程度になります。

ざっくりですが、おおざっぱな目安ににはなると思いますので御利用下さい。