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熊本地震によるアクセス集中にどう対応したのか ― サーバーの増減で支える災害時の情報発信

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熊本で発生した地震によるアクセス集中をどうやって負荷分散させたのか(5日公開予定)

最終更新日:2026/08/29   公開日:2026/08/09

■この記事でわかること

  • 熊本地震によるアクセス集中時に、Webサイトで何が起きたのか
  • AWS Auto Scalingの最低台数・上限台数を変更した理由
  • 災害とアクセス状況に応じて、安定運用とコストを両立する考え方

地震が発生すると、震源地や被害状況、交通機関の運行情報などを確認するため、多くの人がニュースサイトにアクセスします。地域の情報を伝えるメディアにとって、必要な情報を必要なときに届けられることは、非常に重要です。

一方、短時間にアクセスが集中すると、普段は問題なく動いているWebサイトでも、表示が遅くなったり、ページが開かなくなったりすることがあります。

今回は、当社が保守運用をお預かりしている九州のお客様のWebサイトで、2026年7月28日16時27分ごろに熊本県熊本地方で発生した地震に伴い、アクセスが集中した際の対応事例をご紹介します。

当社では、お客様のWebサイトを安定して運用するため、アクセス状況を確認しながらサーバーの台数設定を変更しました。

アクセス集中への備えは「お店のレジ」に似ている

Webサイトのサーバーは、お店のレジに例えると分かりやすいかもしれません。

お客様が少ない時間は少ないレジでも対応できますが、来店が集中すると、会計を待つ長い列ができます。Webサイトでも、アクセスが一度に押し寄せると、サーバーの処理が追いつかなくなることがあります。

そこで、複数のサーバーに処理を振り分け、一台に負担が集中しないようにします。これが「負荷分散」です。

当社が保守運用をお預かりしている今回のWebサイトでは、AWSというクラウドサービスの「Auto Scaling(オートスケーリング)」を利用しています。

Auto Scalingは、あらかじめ設定した条件に応じてサーバーの台数を増減させる仕組みです。このWebサイトでは、通常時の設定を最低2台、上限8台としていました。

レジに例えれば、「少なくとも2台を開けておき、混雑に応じて最大8台まで増やせる」という状態です。

2026年7月28日16時27分ごろ:アクセス集中を受け、最低台数と上限を引き上げ

2026年7月28日16時27分15.2秒、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、最大震度7を観測しました。

地震の発生後、当社が保守運用をお預かりしているお客様のWebサイトにアクセスが集中し、ページが表示されない状況が発生しました。

当社では保守運用対応の一環として、サーバーの設定を「最低2台・上限8台」から「最低6台・上限12台」へ変更しました。

ここでのポイントは、増やせる上限だけでなく、最低限動かしておく台数も引き上げたことです。

上限の引き上げは、さらなる混雑に対応できる余地を広げるためです。一方、最低台数の引き上げには、あらかじめ多くのサーバーを稼働させ、急なアクセスに備える目的があります。

お店でいえば、「混んだらレジを増やす」だけでなく、「混雑が続く間は、最初から多めのレジを開けておく」という対応です。

2026年8月4日:アクセスの減少に合わせ、通常の設定へ

その後、お客様のWebサイトへのアクセスが減少したことを確認し、2026年8月4日にサーバーを「最低2台・上限8台」の通常設定へ戻しました。

サーバーを多く稼働させるほど、その分の利用料金もかかります。緊急時の体制を維持し続けるのではなく、アクセス状況に応じて設定を見直すことで、安定した情報提供と運用コストの両立を図ります。

通常設定に戻しても、サーバーを2台に固定するわけではありません。設定した条件に応じて、上限の8台まで自動的に増やせる状態は維持しています。

2026年8月6日7時59分ごろ:再び地震が発生し、体制を再強化

2026年8月6日7時59分25.3秒、熊本県天草・芦北地方を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、最大震度4を観測しました。

当社では、再びお客様のWebサイトへのアクセスが集中する可能性を考慮し、サーバーの設定を再度「最低6台・上限12台」へ変更しました。

一連の対応をまとめると、次のようになります。

時期 状況 最低台数 上限台数
通常時 平常時の運用 2台 8台
2026年7月28日16時27分ごろ 熊本県熊本地方で地震発生。アクセス集中を受けて設定変更 6台 12台
2026年8月4日 アクセス減少を確認し、通常設定へ復帰 2台 8台
2026年8月6日7時59分ごろ 熊本県天草・芦北地方で地震発生。アクセス集中に備えて設定を再強化 6台 12台

※地震の発生時刻は、気象庁が公表している震源時刻です。サーバー設定を変更した時刻を示すものではありません。

※表に記載した台数はサーバーの設定値です。実際に稼働した台数や、期間中の最大稼働台数を示すものではありません。

熊本地震によるアクセス集中にどう対応したのか ― サーバーの増減で支える災害時の情報発信

「自動で増える仕組み」があっても、運用判断は必要

Auto Scalingは便利な仕組みですが、無制限にサーバーを増やすものではありません。あらかじめ設定した台数の範囲や条件に沿って動作します。また、新しいサーバーが起動し、処理を受け持てるようになるまでには、3~5分程度の準備時間が必要です。その間、サイトが表示されない状態となります。

そのため、急激なアクセス集中が想定される場面では、自動増減に任せるだけでなく、あらかじめ稼働させる最低台数や、増やすことのできる上限台数を見直すことが有効です。

今回も当社では、お客様のWebサイトのアクセス状況と地震の発生状況を踏まえ、サーバーの設定を段階的に変更しました。

なお、サイトが表示されなくなる原因は、サーバーの台数不足だけとは限りません。データベースなど、別の部分に負荷が集中する場合もあるため、状況に応じた確認が欠かせません。

必要なときに情報を届けるために

Webサイトは、公開して終わりではありません。特に地域の情報を発信するメディアでは、災害などによって利用状況が大きく変わります。

今回の対応では、当社が保守運用をお預かりしている九州のお客様のWebサイトについて、地震発生後のアクセス集中を受けてサーバーの体制を強化しました。

その後、アクセスが落ち着いた段階で通常設定に戻し、再び地震が発生した際には、アクセス集中の可能性を考慮してサーバーの体制を改めて強化しています。

このように、アクセス状況や周辺の状況に応じてサーバーの設定を柔軟に見直すことで、お客様による安定した情報発信を支えながら、平常時の運用コストを適切に保つことができます。

デジタルファームでは、サイトやシステムの制作・開発に加え、公開後の保守運用にも対応しています。アクセス集中への備えや、現在のサーバー構成・運用方法に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。