サギに遭って大炎上した某会員制サイト・フルリニューアルの鎮火事例
※こちらはお客様との直接お取引ですが、お客様のご希望で匿名公開にしております。
人材マネジメント・コンサルティング会社であるA社様(本社東京・福岡/資本金3,000万円 以下敬称略)からのご相談事例です。会員制サイトのフルリニューアルをお願いできないか、実は今既にプロジェクトが動いているが、全くうまく行かずプロジェクトが破綻しかかっている、というご相談でした。
目次
既存の会員制サイトを機能強化・フルリニューアルしたかった
A社のやりたい事は以下の通りです。
前提:
料金コースが一種類のみのWordPressで構築した会員制有料サイトがあり、それを複数料金コースの会員制有料サイトとして大幅な機能強化・フルリニューアルを図りたい。
具体的な要件:
① 既に存在する有料会員が、そのまま新サイトでも何もすることなく利用出来る事。
②料金体系は現在の定額月払い以外に、年間一括払いを追加した2コースにする事。
③ 会員区分は非会員/標準会員(月額会員)/プレミアム会員(年間一括払い)の三つあり、それぞれに応じたサイトコンテンツの出し分けが出来ること。
という事でした。
Web制作会社が開発に失敗、プロジェクトが座礁
弊社へのご依頼のきっかけは、A社がその会員制サイトのフルリニューアルを某制作会社に発注したものの、プロジェクトが途中で進まなくなり、事実上頓挫してしまったためでした。
どうして頓挫してしまったかというと、発注したWeb制作会社はWebシステム開発のノウハウを全くもっていなかったためです。
CMSはWordPressで実装となっており、特段難易度はありません。しかし肝となる会員管理と課金管理での知見を持ち合わせていませんでした。なぜそもそもそんな会社に依頼されたかとお聞きしたところ、最初は問題無く出来ると言っておりその言葉を信じた、との事でした。出来る出来る詐欺ですね。
開発途中のサイトを見ると、会員管理機能はWordPressのプラグインをちょっとカスタマイズして開発していました。正直セキュリティ強度は低いですが、その分開発難易度はかなり低いはずです。にも関わらずその開発会社の能力不足で要望の仕様を満たせない上に、かつ課金管理との連携も上手く動いていませんでした。なので当然料金コース別によるコンテンツの出し分け処理も動いていません。当初の予定を半年も遅延してしまっており、にっちもさっちもいかなかくなってしまった、との事でした。
ちょうどこの難題に直面した際、弊社の「WordPressのプラグインを使って会員制サイトを自分で作ってはいけない。」という記事を見て、ご相談頂いたとの事です。
ヒアリングしながら個々の問題を一つ一つ潰していく
① 既に存在する有料会員が、そのまま新サイトでも何もすることなく利用出来る事。
そのまま既存の代行決済会社を引き続き使うのであれば、問題ありませんとお答えました。代行決済会社を変更するとなると、既存会員リストの移動が必要になり、手続き等難易度が劇的に上がってしまいます。今回はこの心配は無いという事が分かりました。
②料金体系は現在の定額月払い以外に、年間一括払いを追加した2コースにする事。
これは何ら問題がありません。というかするべきですよね、というお話を差し上げました。
③ 会員区分は非会員/標準会員(月額会員)/プレミアム会員(年間一括払い)の三つあり、それぞれでサイトコンテンツ出し分けが出来ること。
こちらも同様の意見を述べさせて頂きました。
まさかの展開。ん?自社開発した会員管理システムが既にあるってどういう事?
打ち合わせの最中A社様のエンジニアがふとこんな一言を漏らしました。「うちの会員DBを使うのが本当は理想なのですが・・・」え?と思い、「自社で会員DBをそもそもお持ちなのですか??」とお聞きすると実は基幹系として持っているとの事。
「そもそも既存の自社開発の会員管理システムがあるのに、何故わざわざチープなWordPressの会員管理プラグインをカスタマイズして別途開発しているのですか?」とお聞きすると、実は元々今のサイトは軽いお試しで始めた経緯もあり、既存システムとの連携機能の開発コストが払えずに、それでインスタントにWordPressの会員管理プラグインで始めてしまったのだそうです。すると意外と会員がついてしまい?結果、社内に会員管理システムが二個ある状態になってしまったとのことでした。
そして今回のフルリニューアルでも、自社会員DBとWordPressサイトへの接続、課金との連動方法の知見がなかったので、制作会社に依頼したところ「それは無理ですよ」と言われてしまい、結果WordPressの会員管理プラグインを引き続きカスタマイズして使う事になった、との経緯をご説明いただきました。
これはどう考えても不合理な様に思えます。結果会員リストや認証も二重になってしまいます。
中途半端な新規開発システムは廃棄して、自社会員管理システムを連携させる
前述した通り、既に新サイトは開発着手中であり、中途半端な会員管理システムと課金システムが存在していました。弊社で今後の開発方針についてWebコンサルティングをお引き受けし、プログラムソース等を確認した結果、結論として以下をご提案しました。
- 今の開発中のサイトは、WordPressだけを残し、中途半端な会員管理機能と課金管理機能は廃棄する。
- 会員管理は御社が現在所有している既存システムを活用し、WordPressへの組み込み方法や、課金管理との連携にかかる部分はAPIライブラリを弊社で開発し、組み込み方法をマニュアルとしてご提案する。これなら御社で組み込みが可能。かつコストも最低限で済ませることが出来る。
というご提案です。
現状Web制作会社が作った中途半端な会員管理(WordPressのプラグインをいじっていました)と課金管理はソースが汚く、これを活用する事はかえってコストが増えるだけだとご説明差し上げました。また既に会員DBがあるわけですから、これを使わないという選択肢はありません
また、自社のシステムとしてきちんとした会員管理システムが既にあるワケですから、これを使わない手はありません。それが最短かつ最小のコストで実現が出来ると考えました。
結果、五分の一のコストでWebサイトフルリニューアルを実現
結果的に弊社ではWebコンサルシングのみに特化し、会員管理APIライブラリの作成を行い、課金システムAPIとの連携、そしてWordPressへの組み込みノウハウのご提供を行いました。結果的にA社にいたプログラマーが制作会社抜きで直接実装し、これによって当初A社で考えていたコストの1/5程度に圧縮することが出来ました。
既に開発中のプロジェクトという事もあり、極めて難易度の高いプロジェクトでしたが、弊社の知見を元に、お客様の存在を最小限度にとどめることが出来たと自負しております。お客様からは、最初からデジファに頼んでおけば良かったとお褒めのお言葉を頂きました。