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現場ブログ

保守契約の曖昧さについて

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最終更新日:2018/12/27   公開日:2018/06/11

先日、日本郵政がITベンダーとの保守契約を見直すことによって、大幅なコストダウンを図ろうとしており、ある意味金城湯地である部分の契約見直しに、ITベンダーが猛反発しそうだ、という記事が出ていました。

日本郵便はさすがに巨大すぎますが、一般的に大規模の大きなシステムになると、実害があろうがなかろうがおかまいなしに100%本番系も待機系も常に万全の体制で頼むぞ!スレーブサーバー50台いても1台たりとも1秒たりとも寝てはならぬ!寝たら即時復旧せよ!いえっさー!という契約になりますから、オーバースペックになってしまいがちなのは否ません。

しかし、日本郵政の場合はまだ良心的な方だと思います。

いわば「お金払ってやってもらっている保守が過剰なので是正したい」という話であって「金は払わないけど満足できるまでとにかく自腹でやれ」とは訳が違うからです。動いた分だけお金を払うのはしごくまっとうな事ですし、これはやはりITベンダーの方が旗色がよろしくないように思います。

その昔、業界的に出たてのブレードサーバー、某社のを購入して偉い目に。。その後デルのを買いました。

 

「IT業界」と言っても、かなり裾野は広く月額にかかる保守費用は概ね以下のような傾向にあります。

ホームページ制作(がIT業界に該当するのかは微妙ですがとりあえず入れます)が作る普通の会社などのホームページ<Webシステム・Webコンサル会社が作るサービスサイト<基幹業務系システムや大規模Webサイト

この順番で、保守の月額コストは増えていく傾向にあります。

基幹業務系のシステムの場合は特にクラウドより専用のハードを購入し契約するのがまだ主流ですから、それを24時間365日保守するとなると、当然それなりのお値段になります。

で、いわゆるホムペの運用保はともかく、Webシステム・Webコンサル会社が作るサービスサイトの場合は少し微妙で、ほとんどの場合「24時間365日友人監視を行い、何かあれば即時対応する」にはなっておらず、

「週末祝祭日夜間なんかあったら対応するけどほとんどそんな事は起きないし、もし何かあった場合はベストエフォートでがんばる、という前提でこのお安い保守料金なんです。なのでもし何か起こった場合、「なんで即時対応しないんだ!」って怒らないでね」

という前提での契約がほとんどです。

これを明確に言っている会社さんはまだ良心的な方で、中には契約内容を曖昧ににしたまま土曜に障害が起きても携帯に電話されても知らんぷりで月曜午前中まで確信犯的にぶっちぎったりするホームページ制作会社的なWebシステム会社はそう珍しくありません。決して同業をディスる訳ではないのですが、そういう話はホントよく見聞きしますし、やはり一定数は間違いなくある事は否定しようがありません。

また、ではシステムの保守の部分だけ外部のデータセンターやホスティング会社に外注すればいいじゃないか、という指摘もありますが、それには限度があり、なんだかよく分からないがサーバーが寝てしまった、というような将棋十級みたいな超初心者レベルの場合は再起動のボタンを押して貰って復旧出来ますし、簡単なコマンドラインを打って貰う事もホスティング会社でも出来ますが(それにしても結構なコストがかかりますが)、そういう初心者レベルではない原因によってサーバーが落ちてしまうと、やはりシステム開発を実際に行った当事者のシステム担当者ではなくては勘所はわからないので、結局そう簡単には外に出しようがないという事になります。そうなると、当然体力が必要になりますし、出せるのはそれこそエンタープライズ、一千万単位では収まらない開発規模のシステムに限られてきます。

弊社の場合も基本的に前者で、基本的にベストエフォートであり、その方がサイト主催者も月額のコストも抑えられますし、多少のことは目をつぶっても差し支えがない、という話をお客様としています。

また規模の大きなサイトになって来ると、ロードバランサーをかましてマスター・スレーブ構造にしますので、週末にスレーブサーバーが一台落ちたくらいではサービスに支障はほとんどないようにしています。

ただし、弊社の場合はなんだかんだ言って、実情として限りなく即時に近い体制にしていますので、祝祭日一切連絡がつかない、何もしない、というのはこの20年やってきて、ただの一度もありません。ただし、それをお客様には「保証」はしていません。保証すると、価格に反映する必要があるからです。また実は正直なところを言うと、我々はその部分について、そもそもお金は欲しくありません。それよりは社員の健康を重視したいからです。どんな規模の会社でも24時間365日は相当タフですし、大きな体制が必要になります。それが用意できないと、必然的に現場がタフな状況になるのは明らかです。

昨今クロネコヤマトが売上減ってでも社員への負荷を減らすのがニュースになっていますが、日本全体が少子化・労働者人口の自然減の中で、働き方自体を変えなければならない時代になってきている、というのは経営者として非常に感じる部分です。

そういう点で「ベストエフォートで頑張りますよ」というのは依頼する側される側にとっての、一つのリーズナブルな妥協点だと私は思っています。

しかし、システムの規模が大きくなってくると、あるいは運営しているWebシステムがミッションクリティカルになってくると、この「暗黙の了解事項」の雲行きが怪しくなってくる、あるいは認識に齟齬が生まれてくる可能性もはあるかも知れません。この記事のように、明確に明文化して、ベストエフォートとはなんぞや?という事を最初から定義した方が誤解も避けられるかも知れません。中々悩ましいですね。しかし、いずれの場合も、求められるのは誠実さであろうと思っています。