「ECサイト再構築 もっと売るゾウ」に、
いかにして「離島管理システム」が導入されたか。
弊社のカスタマイズ型ASPサービス「ECサイト再構築 もっと売るゾウ」には、他社には見られないユニークな「離島管理」という機能を搭載しています。
これは、例えば離島や僻地など、特定のエリアでは配達は出来るが代引きは出来ない、あるいは特定のエリアで冷凍便は扱えない、といった運送会社系の決済代行サービスに見られる例外を一元管理し、注文時に該当する場合、注意を促す、というものです。
このユニークな機能が果たしてどうやって開発、リリースされたのか、その経緯をノベライズド・フィクション形式でお届けします。
■序章-気がついた例外-配達は出来るが代引きは出来ない
それは、開発も終盤にさしかかっていた、ある日の会議がきっかけだった。
クライアントの会議室でミーティングが開かれた。デジファからはマネージャの中田と藤本、クライアントの担当部長、それに決済と物流を担当する黒日運輸からは部長と担当者が参加していた。リリース間近のECサイトについて、詰めの再確認が目的である。
黒日運輸は日本を代表する大手の運送会社で、ネット通販用の決済サービスも手がけている。今回ECサイトプロジェクトでは、決済だけではなく、配送までをトータルで担当出来るところが面倒が無くて良い、とのクライアントの要望で、黒日運輸の「eコレクト決済」が採用された。
会議も終わりに近づいた頃、おもむろに黒日運輸の担当者が口を開いた。
「あ、それで、資料にも記載がありますが、一部の離島については、代引きは出来ませんので、その点はご注意下さい。」
「え?ああ、そうなんだ」とクライアントが少し驚いて言った。
「ん、えっと、それは代引き以外の決済手段は大丈夫って事ですか?それは何故でしょう?」藤本が質問した。
藤本はデジファでは入社3年目のまだ駆け出しの若手デザイン・コンテンツ担当だが、サイト全体のディレクションも担当している。どんな細かい事でも、理由を聞かないと気が済まない性格で、そのおかげでまどろっこしい事も多いのだが、未然に防げた事故も少なくない。
「はい、実は離島へ配送する場合、代引きだと現金の管理の問題があるもんですから・・・それでやってないんです。ただ、配送は出来るので、その場合は、お客様にクレジットカードか、郵便振り込みか銀振りに変更していただく形が良いと思います」
クライアントが趣旨を咀嚼しているうちに、藤本が尋ねた。「ああ、なるほど・・・その場合、御社の決済システムでは、クライアントはどういう操作をしたらよいのでしょう?「eコレクト決済」には、発送と送り状印刷の依頼処理も含まれていますよね。」
黒日運輸の担当者が説明した。「はい、通常、注文を受けた後は、弊社の「eコレクト決済」の管理機能から、CSVをダウンロードして頂く形になっています。このCSVを弊社の担当者にメール添付で送って頂く事によって、弊社への配送依頼と送り状印刷の依頼が完了となります。今回の場合、CSVの中を開いて、その離島注文分を削除してから、メールで添付して、弊社窓口に送って頂く形になります。」
商品注文から発送までの流れ

藤本「ということは、万が一離島のお客さんから注文が入ってきた場合、クライアントはお客さんにメールか電話で、代引き以外の決済方法に変えてもらうようお願いする、って事ですよね。」
「はい、そうなります。郵便振替やコンビニ振替に変える場合は、管理画面から決済手段を変更してもらうだけで済みますし。クレジットカードに変更したい、という場合だけ、お客さんが最初から注文をしなおしていただく形になると思います。ただ、いずれにしても、かなり例外的な注文だと思いますが、、」
ここで初めてクライアントが口を開いた。「まあ、よっぽどの事がないと、離島からの注文というのは来ないと思いますから、それでいんじゃないかな。」
ん・・・と藤本は思ったが、特に異論は誰からも出ず、そのままオペレーションで対応するという事で、打ち合わせは終了となった。
■その作業はちょっとバカらしくないか?
その後社内に帰ってきてからの打ち合わせで、中田が口を開いた。
「じゃ、これで後はサービスインの日付を決めるだけだね・・・。しかしね、藤本君、さっきの離島の話なんだけども、離島地域で代引きは出来ない、ってのは、ちょっと気になるね。」
藤本が答えた。「中田さんも思いましたか。いや、実はそうなんですよね。私も同感です。」
淡々と中田は続けた。「確かに、離島のお客さんからの注文は圧倒的に少ないだろうし、オペレーションで回避も出来る。クライアントに特に不満がある訳でもないけど、なんだかそれって、作業としてはちょっとバカらしくないか?おかしいゾウ。」
バカらしくないか、というのは、無意味な作業を何よりも忌み嫌う中田が、その手の作業に対してよく使う表現だった。その後に言った ゾウは多分いつもの小ネタだろう。そのままスルーして藤本は答えた。
「そうなんですよね・・・。元々サイト側で注文受付時に住所と決済手段を見て、該当する場合に警告表示を出せばいいだけですよね。」
「そうそう。要は代引きの出来ない離島情報をマスタとして事前に登録しておけば良いだけだ。そうすれば、該当する注文が来たときに、
お届け先の該当エリアは代引きが出来ません。
別の決済方法を選択してください
と出せるよね。そんなに難しい話じゃない。そうすれば、クライアントも無駄な作業をせずに済むよね。」
藤本がうなずいた「要は離島管理機能を新規に盛り込もう、という話しですよね」「そうだ」と中田はうなずいた。藤本もそれについては同感だった。ただ、懸念もあった
「中田さん、私も同感なんですが、しかし、いまここに来て新規に機能を乗せるのは予定感としてどうかと思うのですが・・・それにクライアントも今の仕様で良いと言っているので、追加開発の費用が出るとも思えません。ちょっと厳しい感じもしますが・・・」
「ま、確かにそれも一理あるんだが、うちの「もっと売るゾウ」は元々カスタマイズ可能なASPという位置づけだから、別に今回の案件にだけ離島管理を適用する、という話でもないだろう。他のネット通販システムでも、こういう離島処理はほとんど無いはずだから、「もっと売るゾウ」を差別化する、という意味でも、今回乗っけてしまおう。」
「わかりました」藤本は答えた。判断が速いところが中田の良いところだ。 これで小ネタが少なければもっと良いのだが。
「で、仕様設計はどうする。ま、そんなに難しい話じゃないけど。」
ここで会議に参加していたプログラマの浦見が初めて口を開いた。
「はい、簡単なマスタ登録の部類ですから、私の方で完結できると思います。」
浦見は中途入社してまだ十ヶ月程度の若いプログラマで、若干緊張しやすい性格だった。
「ホント?大丈夫?」
中田が心配そうに訪ねると、
「はい、大丈夫です。工数的にもかかっても2,3日くらいの話ですし」
「わかった、じゃ、任せるから、大体出来たらレビューしようか。」
「はい」
しかし、この時、中田は多分浦見では2,3日では済まないだろうな、と思っていた。恐らく1週間くらいはかかるだろうな、と思ったが、まずは任せてみることにした。
数日後、早速浦見から大体出来たとの報告があり、社内レビューが開かれた。
「じゃ、始めようか」田中が言った。「はい、宜しくお願いします。それでは始めたいと思います」。若干緊張した面持ちで浦見が説明を始めた。社内のメンツしかいないのに、それでも緊張するんだなぁ、と中田は思った。客先デビューはもう少し先になりそうだ。
プロジェクターに大きく映し出された管理画面を見ながら、浦見が説明を始めた。
「まず表側の注文時の入力フォームは見た目も何も変わりません。今回の離島管理のキモは管理機能になります。
このように、弊社の「もっと売るゾウ」の管理画面に、新規に離島管理機能を設けました。クライアントには、まずここで代引きが出来ない離島地域と、該当する運送会社を登録して頂きます。それによって・・」
「ん、ん?ちょっと待って」
と早速中田が話を止めた。
「はい?なんでしょう?」
「これ、管理画面で、離島の登録をまず行うの?」
「はい、そうですが・・・」
「誰がそれするの?」
当たり前すぎると思ったのか、浦見は一瞬面食らったような顔をした。
「え〜っと、、、当然管理画面にアクセス出来る人がする形になりますので、「もっと売るゾウ」を使う弊社のクライア ントという事になりますが・・・」
すかさず
「そもそもそれが違うんじゃないかな?」
え、そこからっ?と浦見は焦った。
>> つづく
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